一家の主の印鑑

印鑑イメージ

祖父が他界して既に十年以上経過している。
私も成人してはや数年が経過し、自分の印鑑を持つようになった。
私の時は私が勝手につくってしまったが、今現在姉が印鑑を作る相談を家族全員にしていた事よって我が家は一時的に印鑑についてを調べるちょっとしたブームが来ていた。

通販でもおしゃれで可愛い印鑑が作れる事、印材には様々な種類がある事。
ゴム印の可能性。一見するとなんて書いているのかさっぱりわからない文字。
ふと印鑑を調べているうちに疑問がわいた。
「おじいちゃんの印鑑ってあるの?」
当然と言えば当然ではあるがつい最近まで一家の主だったのだから印鑑はあるだろうと考えたら、どうしても印鑑が見たくなったのだった。

家族に聞き込み調査を行った所、現在その印鑑はまだ破棄去れず保管している状態で、祖母が持っているという事がわかったのだった。
使わなくなった印鑑だけあって探すのは多少苦労したが、それでも祖母の部屋のタンスから祖父の印鑑はでてきた。

木で出来た少し色がくすんだてかりを見せている印鑑。
それはまさしく裸一貫で店を上げた祖父らしいごつくて汚れているけどボロは出ていない、なんとも頼りがいのある印鑑だった。

私の祖父の記憶は既にその店を退いた後で印鑑を使用している姿をみた事はなかったのだが、手に取ってさわってみると、まるで全盛期の祖父の仕事中の姿が見えるようだった。
年齢から若干痴呆気味でも家族の名前は絶対に忘れなかった祖父。
さぞや頼れる存在だったのだなぁと印鑑を持ったまま想像してしまったのだった。

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