後輩の気遣い

検品イメージ

「まただよ!」

イライラしながらボールペンの芯をゴミ箱に入れる。
商品の検品の仕事をしている私は検品が終わったらボールペンで丸印をつけてその商品の検品が終わった事を知らせる必要があった。
が、その量がまた膨大でボールペンがしょっちゅうなくなった。

検品中にぽこぽこなくなるのでストレスも溜まる。
でも備品では自分の仕事で頼めるのはそのボールペンだけでハンコが欲しかったもののガマンするしかなかった。
一緒に検品中の後輩と共に愚痴を言いながら検品をして、時折ボールペンが切れる。
ボールペンが切れると共に私がキレてボールペンの芯をゴミ箱に入れる。
繰り返しだった。

ある日仕事場に行くと、検品用紙の横に100円ショップの朱肉と・・・変な形の消しゴム

「何これゴミ?」

消しゴムを見てみると変な形なのはカッターか何かで削っていたためいびつになっていたのだとわかった。
よく見ると・・・更にいびつな形で鏡文字で

「けんぴんすみ」

とかろうじて読める。判子だった。出勤した後輩が得意顔という事は恐らくこれは・・。
余りにもイライラしている私を気遣ったのだろう。朱肉は自腹のようだった。
安物だけど、値段じゃない。後輩の気遣いがうれしかったし照れくさかった。

そしてそれ以降、私達の仕事場は検品用紙に「けんぴんすみ」の判子がよく登場するようになった。
当初こそ上司の批判が若干あったものの、下の不便さも相まってか批判に批判が集まり、今では私達の担当場所だけでない場所では「けんぴんすみ」の消しゴム判子は活躍している。

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